バジリコは「おばあちゃんのパスタ」

本ブログでは現在、1990年4月15日にChianti 30周年を記念して刊行されたヒストリーブック、「キャンティの30年」より転載した記事を続けておりますが、今回は少し趣向を変えて、webメディア取材班の方にインタビューをしていただきました。あらためてキャンティについて知ってもらえたら幸いです。

今回は、当店の名物料理である「バジリコ」についてお届けします。

 

バジリコは友人をもてなす「家庭料理 」

取材班:

初めてキャンティのバジリコを食べたのはいつですか?

 

川添:

そうですね、記憶のない頃ですね。正直、覚えていないんです。小学校に入る前から食べていたと思います。

 

取材班:

作ったのはどなたでしょうか?

 

川添:

祖母ですね。祖父祖母ともに再婚同士でして。もともと祖母はイタリア人と結婚して、イタリアにいたんですよ。

 

バジリコがどのようにして誕生したのかは諸説あるんですけど、キャンティの初代の社長と一緒に作ったメニューの1つだったとか。もともと祖父、祖母の家に人がたくさん来る家庭だったんです。365日24時間、鍵をかけたことはないっていうほどで。本当にいきなり人が来て、それを祖母が手料理で楽しませてたということは聞いていました。その時のメニューのひとつなのだと思います。大葉とパセリでちゃちゃっと簡単にできるもの、というメニューだったのでしょうね。

 

取材班:

なるほど。バジリコ自体を作ったのは、おじいさまとおばあさまが一緒に作られたのかもしれないということですか?

 

川添:

いえ、祖母が作ったと聞いてます。

 

 

取材班:

「キャンティのバジリコ」とネット検索すると、クックパッドとかYouTubeとかで、「キャンティのバジリコ風のバジリコを作ってみた」みたいな動画がたくさん出てきます。長い間愛されている、有名料理っていう感じがしました。

 

川添:

あ、そうなんですか。

 

取材班:

たくさん出てきますよ。バジリコって、そもそもはイタリアの料理なんですよね。

 

川添:

バジリコの事をよくジェノベーゼっておっしゃる方がいるんですが、ジェノベーゼは、バジリコのペーストで作るパスタがイメージされるものです。ジェノベーゼというのは、イタリアのジェノバという土地の名物料理という意味合いもあるんです。ジェノバは海が近いこともあって、日本では、魚介類を入れていることが多いですね。キャンティのバジリコは、葉っぱだけなのでオリジナリティ溢れる料理ですね。

 

取材班:

そうなんですね、なるほど。入っているのは、バジルと大葉でしょうか。

 

川添:

大葉とパセリですね。気まぐれでバジルの葉っぱをちょっと飾るぐらい。

 

取材班:

そうなんですね。バジリコ目当てで来るお客さんもいらっしゃいますよね。

 

川添:

そうですね。初来店の方におすすめするのはバジリコですし、ご注文いただくことは多いですね。

 

取材班:

この前お伺いした時にいただきましたが、忘れないんですよね、あの味。

 

川添:

キャンティが、元祖バジリコですから。バジルを使ってるところはありますが、うちとは違うんですよ。大葉とパセリを使っていたら、うちのマネですね(笑)。

 

いつものパスタ=バジリコ

取材班:

バジリコに対しての思い入れを教えていただけますか。

 

川添:

物心つく前から食べている料理ですね。僕は姉と妹がいるんですが、みんなバジリコしか食べないんですよ。 生意気なんですけど、店に行って「いつもの」って言うと、バジリコが出てくるんです。

 

取材班:

ええ、すごい。

 

川添:

それぐらい、もうバジリコしか食べないんです。

 

取材班:

パスタと言ったらバジリコ。

 

川添:

そうですね。ミートソースを食べるよりも、バジリコの方が好きでした。いつものパスタですね。懐かしいです。

 

取材班:

川添家の子どもにとっては、特別というよりは家庭料理に近いような感じなんですかね。

 

川添:

そうですね。

   

食べ飽きることのない不滅の味

 

取材班:

子どものころから慣れ親しんだ味かと思いますが、今でもよく召し上がるんでしょうか。

 

川添:

バジリコはいつでも食べられるんですけど、食べ飽きるということはないんですよね。よくできてるなと思います。

 

取材班:

今も週に何度か召し上がるんでしょうか。

 

川添:

ほぼ毎週月曜日に母とランチをしているんですが、よくバジリコを食べますね。たまには試食を兼ねて他のパスタも食べるんですけど、やっぱりバジリコですね。

 

取材班:

キャンティのバジリコに対して、どのような思いがありますか。

 

川添:

今後も引き継がれていく、不滅のものだと思っています。

バジリコと言っているのにバジルが入っていないんですが、そこも面白くて僕の好きなところですね。

 

取材班:

名前はおじいさまが付けたのでしょうか。

 

川添:

祖父か祖母だと思うんですけど、イタリア語なので祖母じゃないかな。

祖父がフランスに留学していて祖母がイタリアに留学しているので、そういった2人のこの経験をミックスした店がキャンティなんですね。自分たちが食べたいものをメニューにしてるような感じがして、面白いんですよね。

 

取材班:

すごいですね。芸能人の方のヒストリーのようです。

 

川添:

歴史と先祖に感謝です。

 

取材班:

多くの著名人がバジリコを味わったと思いますが、とくにバジリコ好きな方はどなたでしょうか。

 

川添:

ムッシュかまやつさんですね。昔、キャンティに焦点を当ててもらった番組でムッシュかまやつさんが出演されたんですが、「放送を見ていたら食べたくなっちゃった」って、放送日に来店してくれたんです。テレビの中でもバジリコを食べて、食べている自分を見たら食べなくなっちゃったっていう(笑)。

 

取材班:

そうなんですね。

 

川添:

ムッシュかまやつさんがバジリコを食べた後に、そのまま2人で飲みに行きました。すごくいい思い出ですね。

 

取材班:

それは面白いエピソードですね。

川添さんにとってバジリコとは?

取材班:

最後になりますが、ひと言でいうと、川添さんにとってバジリコとは何でしょうか。

 

川添:

おばあちゃんのパスタです。

 

取材班:

おばあちゃんのパスタ!

なるほど。バジリコを「おばあちゃんのパスタ」と言えるのは、世界中で川添きょうだいだけです。

 

川添:

そうですね。

ありがたいことに、バジリコを「死ぬ前に食べたい」と言ってくださる方がたくさんいるので、これからも今の味を守りながら、あり続けたいなと思っています。

 

 

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